仕事中にケガをしたり通勤中に転倒した場合、まずは医療機関へケガの治療に行かれると思いますが、その際、健康保険証を使って受診されますか。
業務上の災害や通勤時の災害によって労働者が負傷したり、病気にかかった場合は、基本的には労災保険が適用されます。労災保険とは、労働者災害補償保険法に基づくもので、正社員のみならずパート、アルバイト等賃金を支給される方すべてが対象です。ただし、お一人で起業されて仕事をしている、いわゆる「ひとり親方」の場合、労災保険の対象から外れる場合もいます。
自分の事故、ケガ、病気が労災の適用を受けられるものかどうか判断に迷う場合は、お勤め先の事業所住所を管轄する労働基準監督署にお問い合わせされることをお勧めします。もしも、担当の方から労災に当たらないと言われたら、健康保険の担当へお問い合わせしてください。その際には、労働基準監督署に問い合わせたこと、労災保険にあたらないと言われた担当者名などを伝えてください。
労災保険と健康保険との関係ですが、労災保険は、法律上健康保険よりも優先適用することになっており、賃金を受けられない日が4日以上に及ぶ場合の休業補償、障害等級に該当する障害が残った場合の障害補償が受けられるなど、健康保険にはない優遇給付が用意されています。
しかし、いったんは健康保険を使用して治療し、そのあとで、さかのぼって労災保険の適用を受けようとする場合、すでに健康保険で給付した額(通常、自己負担金は3割で健康保険の給付は7割で受診しています)の返還請求を求められることがあります。さかのぼる期間が長いほど返還金額が多額になってきますので、注意してください。
また、労災保険とは別に、交通事故でひき逃げされ賠償請求する相手方が見つからない場合などは、別に政府の保障制度があります。お近くの損害保険会社にお尋ねになれば申請方法をおしえてもらえます。